自然を食す。 Haramura ── Field Record
ENSOU PROJECT ── In Progress ── Nagano, Haramura

原村で、新しい挑戦が始まった。

原村の葡萄を、信楽・嘉祥窯の壺で熟成する。その先には、畑の剪定枝の灰を釉薬にした一年だけの陶器ボトルの構想がある。ワインと器で畑の一年を記録する円相を、原村と信楽で描こうとしている。ここに載るのは完成した物語ではなく、進行中の挑戦の記録である。

Every Vintage Leaves a Record. KIFUTATO WINES × KASHOGAMA × ASTER STYLE
Challenge

やろうとしていること

長野県・原村、標高約1,000m。キフタトワインズの葡萄畑から、この円環は始まる。名前の由来は禅の書画「円相」──一筆で描かれ、二度と同じ形にはならない円。

原村の葡萄を信楽の壺で熟成し、その先に、剪定枝の灰を釉薬にした陶器ボトルを構想する──この組み合わせは、誰もやったことがない。ワイナリーと窯元、それぞれのプロフェッショナルが、未知の領域に一歩ずつ踏み込んでいく。だからこそ、始めから記録する。

葡萄を育てるワインにする壺で熟成する
剪定枝釉薬陶器ボトル(構想)暮らしに残る ── and on to the next year
Field Record

進行中の記録

Record 01 ── 起筆 2026.7 ── Shigaraki

まず、壺を焼くところから。

最初の一歩は、信楽から始まった。千年続く窯場で、嘉祥窯・森岡嘉祥が、信楽の土から20Lの熟成壺の試作にとりかかる。

壺でのワイン熟成は、世界で評価されている醸造技術だ。無釉の陶の肌がごく微量の酸素をワインに通し、タンクにはない丸みが生まれる。木樽と違って木の香りを乗せないため、葡萄と土地の輪郭がそのまま残る。まずはこの熟成壺で、原村のピノ・グリを育てる。

そしてこの壺の先に、もうひとつの構想がある。熟成を終えたワインを収める、一年だけの陶器ボトル。その釉薬に、原村の畑の剪定枝の灰を使えないか──いま、検討が始まったところだ。

写真は、その最初の壺たちである。

熟成壺の試作。素焼き前の段階
熟成壺の試作(20L・2026年7月・嘉祥窯)。素焼き前・灰釉を施す前の段階
嘉祥窯・森岡嘉祥による熟成壺の試作
嘉祥窯・森岡嘉祥。熟成壺の試作(2026年7月・信楽)
Ahead

この先の道のり

Autumn収穫。原村で育てたピノ・グリが、ファーストヴィンテージの果実になる。
Winter剪定。切り落とされた枝が、翌年の釉薬の原料として集められる。
──灰と釉薬の試作。畑の一年を陶器ボトルに映せるか、挑戦が続く。
2027.11初ヴィンテージ完成(予定)。壺で熟成したピノ・グリのオレンジワインが、最初の一周を閉じる。

※ その年の天候も、畑の出来事も、起きたままに記していく。自然が相手の仕事だから、同じ年は二度とない。